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医療DXの本丸「電子カルテ情報共有サービス」、いよいよ全国運用へ


(2026年10月)

これまでも「Check! 気になる医療ニュース」2026年1月、4月と2回にわたりご紹介してきました「電子カルテ情報共有サービス」。
今年度をめどに全国運用する見通しとなりました。

日本政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」のもと、厚生労働省は2030年までに電子カルテの普及率100%を目指す方針を掲げていますが、2026年8月27日の社会保障審議会医療保険部会の「医療情報化推進方針(案)」では、より具体的な工程が示されました。*1 
「電子カルテ情報共有サービス」の運用が始まれば、全国の医療機関で保有する患者情報をオンラインで相互参照・共有することができるようになります。
つまり、従来の地域医療連携ネットワークのように地域限定や個別同意を都度取得する形式とは異なり、このサービスでは、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が構築する「全国医療情報プラットフォーム」を基盤とし、医療機関同士が「3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書)」および「6情報(傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報)」を、HL7® FHIR®という国際標準規格に準拠したデータ形式で即時に共有することが可能になるのです。*2 

2030年までに普及率100%を目指す国の戦略は、大きく次の二つに分かれます。

①  すでに電子カルテ導入済みの医療機関には、次のシステム更改時に「電子カルテ情報共有サービス」及び電子処方箋への対応回収を求める。
②  電子カルテ未導入の医療機関(診療所で約4.7万施設、200床未満の病院の約4割*3            )には、クラウドネイティブ型で低価格な標準化電子カルテの導入を促す。

そして、この戦略の柱となるのがデジタル庁開発の「標準型電子カルテ(導入版)」です。
既存の紙カルテ・電子カルテの運用はそのままに、共有サービスの閲覧・登録や電子処方箋発行など医療DX対応機能に限定したアプリケーションとして、2026年度中の完成を目指しています。
すでに「電子カルテ情報共有サービス」の概要は7月に発表されており*4   、その導入費用については医療情報化支援基金(医療提供体制設備整備交付金)による一部補助の仕組みも用意されています。*5 
標準仕様準拠のクラウド型電子カルテについては、現在厚労省による認証制度の創設が進められており、国はその要綱を2026年9月に公開、そして認証製品の提供開始は2027年4月を目指すとしています。*3

これと連動し、2026年6月1日施行の診療報酬改定では、従来の医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算を廃止、新たに電子的診療情報連携体制整備加算が新設されました。初診時は電子処方箋と共有サービスの双方に対応していれば加算1(15点)、いずれか一方でも加算2(9点)、再診時は一律2点、入院時は加算1(160点)・加算2(80点)を算定できるようになりました。*6 
ただし施設基準にある「厚生労働省が認証する電子カルテ製品」という要件について、2026年2026年5月時点で「認証制度は検討中であり、議論がまとまり次第示す」と、厚生労働省保険局医療課は回答しており、普及率アップのため、経済的インセンティブの実施が制度の細部整備に先行している実情がうかがえます。*7 
その背景には、「導入が不可能」な診療所がまだまだ多くあるからです。

日本医師会が紙カルテ使用中の全国診療所に行った調査(2025年4〜6月、有効回答5,466件)では、54.2%が電子カルテの「導入は不可能」と回答しました。(*8           )その理由は「ITに不慣れ」「導入費用が高額」「導入しても数年しか使用しない見込み」が上位を占めています。
また、モデル事業でも臨床情報登録の段階で複数の運用課題が生じており、システム改修を経て全国展開時期が調整されたという経緯もあるようです。*9 

今後半年の間に開業を予定している場合は、2026年度中の提供開始が予定されている「国の標準型」を利用するか、とりあえず民間のクラウド型電子カルテを導入して、2027年以降に出揃う「標準仕様認証済みの民間カルテ」を利用するかを見極める必要があります。
とはいえ、認証制度など制度基盤の整備はまだ発展途上です。「電子カルテの普及について」の今後の動向については、継続的にこのコーナーで確認していきたいと思います。

WEB情報最終閲覧日:2026年9月23日

(文責:ブランディングエディター:内田朋恵)


 *1厚生労働省「医療情報化推進方針案等について」第213回社会保障審議会医療保険部会資料3-1(2026年8月27日) 
 *2厚生労働省「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」第88回社会保障審議会医療部会 資料3(令和4年6月3日) 
 *3厚生労働省「電子カルテの普及について」第33回医療等情報利活用ワーキンググループ資料3(2026年6月26日)
 *4電子カルテ情報共有サービス概要案内_v2.1厚生労働省医政局(令和8年7月)
 *5電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金(医療機関等向け総合ポータルサイト)
 *6厚生労働省「個別改定項目について」(令和8年度診療報酬改定) 
 *7事 務 連 絡(令和8年5月 22 日)「疑義解釈資料の送付について(その6)」厚生労働省保険局医療課
 *8厚生労働省「電子カルテの普及について」第26回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ資料2(2025年12月10日)
 * 9 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスに関する検討事項について」第26回医療等情報利活用ワーキンググループ資料1(2025年12月10日)

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