
- 開業に関する欠かせない情報が満載
クリニックの働き方改革大作戦
医師の過重労働だけでなくコロナ禍以降、看護師の離職も社会問題になっています。
クリニックでは勤務環境の改善にどのように取り組むべきでしょうか。
EPISODE 01
「働きやすい」という基準はどう決める?
「働きやすさ」の定義は?
働きやすさとはなんでしょうか。
子育て中や介護中の人にとっては、時間の自由が利きやすい職場かもしれません。
夜勤や休日出勤でバリバリ稼げる職場がいいと思う人もいるかもしれません。
逆に、残業も休日出勤もない職場がいい職場だと思う人もいるでしょう。
家から近いことがいい職場だと考える人もいます。
業務以外のことをしないで済むことがいい人もいます。
このように、「働きやすさ」というのはとてもファジーなものです。
雇用する側としては、あまり勝手な希望を言われても困りますが、昨今の働き方改革を受け、ブラック職場になることは避けなければなりません。
厚生労働省は、医療機関の管理者に向けて「働き方が変わります‼」というチラシ*1 を作って、働き方改革、職場環境改革を推進しています。
最近は、開業前に社会保険労務士に相談し、あらかじめ勤務指標、勤務条件、人事制度などを細かく決めるクリニックも増えています。
そうしたクリニックは、スタッフの採用の際に勤務条件や人事制度を提示できるので、その条件を飲んだ人を採用できるメリットがあります。
しかし、採用時にはその条件でもいいと納得していた人でも、その後、生活環境が変わってしまうことはあり得ます。その場合どうするべきか。
そういう時に、「規則は規則ですから」と問答無用に変更を拒否するか、それともスタッフに歩み寄るか。
私は、規則というものは柔軟に変えられるものであるべきと考えます。
そうした柔軟な対応ができるかどうかで、「働きやすい職場」環境を作れるかどうかが決まると言えるのではないでしょうか。

PDCAサイクルで職場環境改善
厚生労働省は、勤務環境改善に取り組む医療機関に対して、PDCAサイクルを回すことで改善の取り組みを促進させようとしています。*2
ここで気をつけたいのが、PDCAサイクルの運用方法です。
まずPlan(改善計画)の策定です。必ず労使双方で意見を出し合って策定するといいでしょう。
社労士などの医療労務管理アドバイザーの意見だけを聞いて、院長が一方的に改善計画を作っても、うまくいかないことが多いようです。
労使双方で納得して作った計画なら、それに向かって積極的に行動(Do)を起こせます。そしてその行動を定期的(半年に1回程度)チェック(Check)し、その結果を持って、更なる改善に向かって労使で話し合い(Act)、新たな改善計画を作る(Plan)――それがPDCAサイクルを回すということです。
この運用がうまくいけば、医療従事者は勤務負担が削減でき、働きがいが向上するでしょうし、経営者はコストの適正化と経営の質の向上をめざせるでしょう。
その結果、患者さんには質の高い医療が提供されるようになるでしょう。
このような三方よしの改善となれば成功です。
ただ開業時のクリニックにとっては、固定費の中で一番削りやすいのが人件費です。
だからといって、ギリギリの人員でシフトを回していたら、もし突発的なことが起った場合、必ず誰かに過重な負荷が生じます。
コロナ禍では、だれでもコロナに感染したり、濃厚接触者になったりする可能性があります。
だからこそ余裕のない人員配置は絶対に避けなければなりません。
どんな勤務環境なら、様々な立場の人たちが気持ちよく働けるか、働きがいが向上するか、柔軟に労使で話し合いの場を設けるのも一案です。
ベンサムの功利主義ではないですが、まずは「最大多数の最大幸福」になるような就業規則やシフト作りを心掛けてはいかがでしょうか。
(文責:ブランディングエディター 内田朋恵)
参考文献
*1 医療機関の管理者の皆様へ「働き方」が変わります!!
*2 勤務環境改善の意義
