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STOP!クリニック廃業
コロナ禍のクリニック生き残り術
EPISODE 01
地域に馴染めたと思った矢先のCOVID-19
知らない土地で開業をしたにもかかわらず、近隣に住むスタッフを採用できたことで、なんとか経営が軌道に乗ってきた後藤健太医師。
ところが、そんな後藤先生をコロナ禍が襲いました。 開業半年目の試練に、後藤先生はどう立ち向かうのでしょうか。

3月に入って、患者さんの数が減り始めた…
2020年の正月休み。久しぶりに会った大学時代の友人の立花耕二郎から、中国の武漢の医師がSNSで新型ウイルスによる感染症を報告した動画を見せられた。そのとき私は、「SARSもMARSも日本では感染が拡大しなかったから、きっと今回も大丈夫だろう」と、高を括っていました。
それが、2か月後には私のクリニックにまで被害が及ぶ事態になっていました。
大学病院で臨床も担当し、准教授でもある立花から、「このウイルスは、SARSやMARSとはちょっと様子が違う気がする。中国はまだ認めていないけれど、日本に入ってきたら大変なことになるかもしれない。パンデミックが起きる可能性も否定できないから、大学でも感染症対策をすぐに始めるよう指示を出したよ。後藤のクリニックでも感染症対策をしとけよ」と言われていたのです。彼の危惧が現実になってしまいました。
12月までは、クリニックには週平均200人くらいの患者さんが来院してくださっていました。
ところが、2月に入ってダイヤモンドプリンセス号でのコロナウイルスの集団感染や、武漢からの旅行者による屋形船でのクラスター発生などが起こると、患者さんの数が少しずつ減っていきました。
これはやばい!と思った私は、立花から言われていたことを思い出し、医療用の消毒薬、マスク、使い捨てのゴム手袋、感染防具服、N95のマスクなどを慌てて注文したのですが、時すでに遅し、で希望した量の半分も購入できませんでした。
そして、政府が全国一斉の休校を要請した3月以降、パタリと患者さんが来なくなってしまったのです。
すぐに遠隔診療ができるシステムを導入したが…
さて、全国一斉休校を受けて、クリニックのスタッフにも問題が生じました。
まずお子さんが幼稚園と小学校1年生のパート看護師、望月美佳さんが、お休みを申し出ました。望月さんは基本、午前中のみの勤務ですが、幼稚園も小学校もお休みで、子どもの面倒を見なければならなくなったためです。
さらに、午後勤務のもう一人のパート看護師、笠原雅美さんにも、介護中のお父さんの通所サービスがすべて中止になってしまったために、休ませてほしいと言われました。
患者さんも減っていたために、差し当たっての問題はなかったのですが、コロナの影響が働く人にも及んできたのです。
私のクリニックは生活習慣病の患者さんが多く、糖尿病や腎臓病、高血圧の患者さんは、薬が切れると大変です。
そこで通院をやめてしまった患者さんにお電話をして、体調を伺うよう、スタッフに指示を出しました。
スタッフが電話をすると患者さんは皆、「薬は欲しいけど、コロナが怖いから通院したくない」とおっしゃったと言うのです。
電話をした事務スタッフの佐々木香織さんには、「先生、患者さんから、病院に行かずに電話だけで薬がもらえないか聞かれました。
4月からは初診から遠隔診療が可能になるようですし、うちもシステムを導入しませんか?」という提案を受けました。
少し調べてみると、カメラ付きのパソコンがあれば対応できることがわかり、早速、IT関係に強い、もう一人の事務スタッフ、橋本京子さんにシステムを導入してもらい、オンライン診療の開始について、ホームページ上に告知してもらったのです。
このように、私のクリニックはかなり早い段階からコロナ対応ができたと思います。
にもかかわらず、3月以降はそれまでの50%に収入が落ち込んでしまいました。
とくに、年配の患者さんはテレビ電話での診療が難しく、電話での診療が多くなりました。
しかし、耳の遠い患者さんは、電話での会話を嫌がる傾向があり、結局、受診が遅れて、症状を悪化させる方が出てきたのです。
さらに問題だったのが、発熱症状のある患者さんを診察するかどうかということです。
クリニックではPCR検査ができないこともあり、結局、保健所を紹介することぐらいしかできず、対応に苦慮していました……。
開業後半年で新型コロナウイルスの感染拡大に遭遇した後藤医師。果たしてこの困難を乗り切ることはできるのでしょうか。
(文責:ブランディングエディター 内田朋恵)
