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その「こたえ(考え)」では穴に落ちる!?開業の落とし穴 vol.1「ひと編」
クリニック経営に潜む「ひと」に関する
トラブルとアドバイスをシチュエーション別にご紹介!
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〜タイプ別に陥りがちな「ひと」のマネジメントの落とし穴紹介〜
実際の痛〜い「落とし穴」エピソード、その前に・・。 まずは、先生のタイプをに4つにわけ、それぞれのタイプの先生が 陥りがちな、開業時・開業後の失敗事例をご紹介!
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「ひと」のマネジメントを考える
歯科医のA先生は、勤務医時代から仕事は何でも自分が先頭に立って仕切る熱血漢。歯科医療への理念を高く掲げ、それを実現すべく独立・開業することになりました。
開業準備は立地選定から始まり多岐に渡りますが、どうしても自分で判断できない難しい問題だけは先輩の開業歯科医にアドバイスを求めましたが、それ以外のことは多忙な仕事の合間をぬって何でも自分で進めてきました。 スタッフの採用は、歯科衛生士の確保には苦労したものの、たくさんの応募者全員と面接し、自分の理念に共感してくれたスタッフを揃えることができました。 開業日が近づき、勤めていた病院も辞め、いよいよ診療開始に向けてスタッフたちと何度も納得がいくまでリハーサルを重ね、全員で夜遅くまで医院に残って準備に費やす日も少なくありませんでした。
入念な準備の甲斐もあって、診療は支障なくスタート。先生の理念が評判を呼び、いきなり当初の想定を超える患者さんが来院。午後の診療時間が延びるため、スタッフは夜遅くまで残って対応しました。 しかし、患者数こそ予想以上の成果が出ましたが、先生としてはスタッフまだまだ成長してもらいたいと感じています。自分の理想のレベルに届くように、毎週のように昼の休憩時間などを使って、全員参加の勉強会を開催し、自己研鑽を促しました。
このような時間については、残業代や勉強会への参加手当などは支払っていませんでした。給与とは成果に払うもので、残業といっても個人の力量不足からくるものや、勉強のための時間にお金を払う必要はないと思っていたからです。また、スタッフも自分の気持ちを理解してくれているだろうと思っていました。
ところが、開業から6ヶ月、雇っていたスタッフ全員が、今月いっぱいで辞めると申し出てきました。しかも、夜の診療の延長時間と休憩時間中の勉強会参加時間は残業にあたるので、過去6ヶ月にさかのぼり残業代を支払ってほしいという要求まで出されました。 A先生は、信頼していたスタッフに裏切られた思いで、悔しくてたまりません。
眼科医のB先生は、高度なスキルを要する手術も見事にこなす優秀な医師です。勤務していた病院でも将来を嘱望されていたのですが、本人は組織の窮屈さなどに勤務医の限界を感じ、独立・開業を決意しました。
開業にあたっては、手術の腕にそれなりの自信を持っていたので、経営面での不安はさほど感じていませんでした。開業準備は、仕事が忙しかったこともあり、先輩開業医から紹介を受けたコンサルタントに全て任せて進めました。重要事項の判断はもちろん自分でしましたが、ほとんどのことは結果報告を受けるだけだったので、スムーズに進めることができました。
スタッフの採用は、自分でも面接しましたが、コンサルタントにも必ず立ち会ってもらい、判断もその人に委ねました。採用経験が豊富だというので、不慣れな自分よりは、よい人材を見極めることができると思ったからです。 その後もコンサルタントの意見をよく聞き入れ、滞りなく開業日を迎えることができました。内覧会で当院の手術の特長などを伝えられた効果もあってか、患者数の出だしも順調です。
このため、業績面では特に問題なかったのですが、開業してから特に心配になったのがスタッフの管理についてです。採用の時からほとんどのスタッフ対応を、コンサルタントに任せきりにしていたせいか、どうもスタッフとのコミュニケーションが上手く取れないのです。スタートしたばかりでまだ体制が十分に整っておらず、やれ物品が足りないとか、機材の保管場所が違うとか、○○さんの態度が気に入らないとか、スタッフがやたらと不満を訴えてきます。ところが、私では回答に困ることも多く、結局、コンサルタントとの契約を延長して、スタッフ管理に当たらせました。
ところが、開業から6ヶ月、事態はより悪化してしまいました。スタッフ管理を任せていたはずコンサルタントは、実は労務管理や労働法の知識がなく自己流で不適切な対応をしていたため、スタッフから総スカン状態。スタッフの間でも、二つのグループに分かれて仲違いしているうえに、きちんとした就業規則を作ってほしいという要求を受けました。 B先生が仕事の指示を出そうにも全くコントロール不能の状態で、この先どのようにスタッフをまとめればよいのか、B先生は途方に暮れています。
内科医のC先生は、糖尿病を専門として大規模な病院に勤務していましたが、人づてで、糖尿病治療に特色をもつ、ある医療法人グループが開設する分院長就任の話を受けました。分院といっても独立採算性が強い形態で、C先生自身も経営責任をもち、予算管理からスタッフの管理までこなさなければなりません。
しかし、勤務医時代のC先生は診療一筋で、病院からは部署の経営計画の立案や部下のマネジメントにも力を入れるように言われていたのですが、あまり関心はありませんでした。周囲からも、診療には非常に熱心だけど、気難しくて近寄りがたいタイプと評価されている先生です。
とはいえ、引き受けた以上は責任をもってやり遂げようと、スタッフの採用から現場のオペレーションの構築まで、開業準備を進め、オープンにこぎつけました。
オープンしてから業績は堅調に推移していましたが、やはり自分の診療を重視したかったので、スタッフのマネジメントに気を配る余裕はありませんでした。スタッフからは、業務改善の提案をされたり、患者さんから接遇を褒められたといった報告がありましたが、取り立てて何も対応はしませんでした。逆に、時折目についたスタッフのミスは厳しく叱責していました。
すると、開業から6ヶ月がたち、一人また一人とスタッフが辞めていきました。その都度新人を採用して補充するのですが、すぐにまた別のスタッフが辞めてしまいます。あるスタッフからは、C先生の言動はパワハラではないかとも言われました。次第に経験者がいなくなり、患者サービスが低下してきたのか業績も下がってきました。 本院からもその点を指摘されていて、C先生は、どうすればスタッフの定着率が安定するのか悩んでいます。
産婦人科医のD先生は、大学病院で勤務し、毎日たくさんの分娩や難しい手術をこなしていました。寝る時間もなかなか取れないほど仕事は多忙でしたが、温和な人柄が、患者さんやスタッフから高い評価を得ています。この度、大学病院を退職し、かねてからの念願だった独立・開業を果たすことができました。
開業準備は大変でしたが、大学病院で秘書をしていた奥様のサポートも得て、無事にオープンの日を迎えることができました。勤務医時代に培った経験と評判を活かして、スタートから業績は順調です。
ところが、D先生は一つ大きな問題を抱えていました。D先生の医院では分娩も扱っているために入院患者を受け入れます。このため、当直スタッフを配置しなければならず、他の診療科の一般的な開業に比べて、多くの人員を要します。職種も看護師と事務だけでなく、助産師も採用しました。D先生は、このスタッフたちの管理にいつも頭を悩ませていたのです。
産婦人科医院は一般外来に加えて、お産に手術に、スタッフはいつも大忙しです。緊急事態もよく起こりますし、最近は少し対応を誤っただけで訴訟になるリスクも高く、スタッフはいつも気を張り詰めていました。
スタッフは、D先生に対して日々の様々な不満や要望を訴えてきます。D先生は温和な性格もあって、そのすべてを親身になって聞いていました。休憩が取れないと言われるとスタッフを増やし、仕事がきついと言われると休日を増やし、給料が割に合わないと言われると昇給させました。最近では人件費負担が無視できないほど重くなっています。また、開業後も週に数日現場に出てもらっている奥様とスタッフとの関係もこじれているようで、奥様からスタッフへの不満をよく聞かされます。
しかし、どれだけスタッフの要望を聞き入れても、問題は尽きません。最近では、あるスタッフの問題行動が目に余るようになってきました。後輩をいじめたり、同僚の誹謗・中傷をしたりするなどし、他のスタッフからは彼女を辞めさせてほしいと直談判も受けました。しかし、その問題スタッフは、仕事面ではそつなくこなしていますし、無理に解雇すると余計トラブルが炎上しそうで心配です。当院では就業規則もまだ作っておらず、D先生は円満な解決方法はないかと悩んでいます。




