見えてきた外来医師過多区域の正式指定と診療報酬改定の行方
(2026年3月)
先月に引き続き、今月も2026年度診療報酬改定について取り上げます。
今回の改定にはいくつか注目すべき点がありますが、なかでもこれから開業を考える医師の皆さんにとって気になると思われる「医師偏在対策」についてみていきます。
この医師偏在対策については、厚生労働省の審議会でも繰り返し取り上げられてきたテーマです。とりわけ、昨年12月24日に開かれた中央社会保険医療協議会 総会(第638回)では、令和7(2025)年12月12日に公布された医師法改正を踏まえた対応について協議が行われ、「外来医師過多区域での新たな診療所開設の在り方」についての方針が決まったといえます。*1
そもそもこの方針は、2024年12月12日に公布された「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」*2 に明記されていたものですが、当初は「憲法違反になるのでは?」という意見もあったなかでこの方針が決まったということは、周到に準備を重ねられた結果でしょう。
実際、医療法改正に基づき新設された「外来医師過多区域」の正式指定は、都市部の外来医療の在り方を大きく変える可能性があります。そこで、厚労省が公表した最新資料*3 をもとに、その制度内容と診療報酬改定との関係を整理します。
まず、厚労省は2026年1月19日の社会保障審議会医療部会において、外来医師過多区域の設定基準を示しました。資料では、「外来医師偏在指標について、「全国平均値+標準偏差の1.5倍」以上かつ「可住地面積当たり診療所数が上位10%の区域を対象とする」*3 (p.30)とし、東京23区中央部、大阪市、京都市、神戸市、福岡市など、都市部の複数の二次医療圏が候補として示されました。
外来医師過多区域に指定された地域での新規開業希望者に対しては、医療法に基づく開業の6カ月前までに提供する予定の医療機能等を記載した届出が義務づけられます。*3 (P38 )これは、地域の医療提供体制に応じた開業を促すための仕組みです。
さらにこの届出に応じて、都道府県は新規開業者に対し地域で不足する医療機能の提供を要請することができるようになりました。*3 (P38)
今回の医療法改正の一番の注目点は、こうした都道府県からの医療機能提供の要請に応じない場合に対しての措置が明確化されたことです。
期限を定めて協議の場を設け、そこで地域で不足する機能、医師不足地域での医療提供を要請したにもかかわらず、これに応じない場合には、保険医療機関の指定期間を通常の6年から「三年以内の期限を付すことができる」*3 (P41)とされたのです。つまり、実効性を担保する仕組みが導入されたといえます。
この医療法改正は、2026年度診療報酬改定にも影響がでました。
2026年2月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で了承された2026年度診療報酬改定案*4 では、「指定期間が3年以内とされた保険医療機関については機能強化加算の算定を不可とする」*4 (P283)と明記されたのです。
つまり、外来医師過多区域での開業において、地域医療への貢献姿勢が診療報酬上の評価に直結することになり、都道府県の要請に応じない場合には、それ相応のペナルティを科すことになったのです。
ただ、今回の改定では、かかりつけ医機能報告制度と機能強化加算の紐づけは見送られました。
とはいえ、外来医師過多区域における指定期間短縮と加算算定不可の連動は、保険医として開業するならば、地域医療へ貢献してほしい、という「地域医療への貢献度」を評価する方向性を強めるものになったといえます。
※WEB情報の最終閲覧日は2026年2月22日です。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1「医療法等改正を踏まえた対応について」(中医協 総-2)令和7年12月24日
*2「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」厚生労働省(令和6年12月25日)
*3「医師偏在対策について」(令和8年1月19日第123回社会保障審議会医療部会資料1-2)
*4「個別改定項目について」(中医協 総-1 8.2.13)