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電子処方箋のHPKIセカンド電子証明書有償化に現場困惑


(2025年5月)

「本サービスは2025年1月現在、公的資金を用いて無償で提供しておりますが、継続的な公的資金の確保が困難な状況から、2025年4月より本サービスご利用の施設様に経費の一部としてサービス利用料をご負担頂くことになりました。」

電子処方箋におけるHPKIセカンド電子証明書利用に関する情報というWEBページに、突然このお知らせがアップしたのは、今年の1月20日。
この突然の通知に対して3月28日、日本病院団体協議会議長・中井培雄氏は記者会見で、「国策として電子処方箋を普及させようというときに、問題だ」「十分な補助(有償化分の全額補助=無償化)を行うべき」と述べ、厚生労働省医薬局に対してこうした要望の申し入れを行うことになりました。

すでに4月から有償化が始まり、診療所、保険薬局で年間1万円、400床未満の病院で年間5万円、400床以上の病院で年間10万円(すべて税別)が請求されています。
HPKIのWEBページでは、「2025年7月末までにお支払いが確認できない場合、2025年8月1日からサービス利用が出来なくなります。」と表示されており、支払方法とともに解約手続きについても書かれています。
しかし解約手続きは「FAXでしか受け付けない」とあり、デジタル推進なのになんでFAX?と突っ込みたくなります。

この突然の有償化に対して、日本医師会は急遽、今年に限り補助金を出すことを決定したようです。*1 

厚生労働省によると、3月30日時点での電子処方箋の導入状況は、病院で9.3%、医科診療所で16.0%、歯科診療所で3.5%、薬局で76.5%と、病院、診療所の導入率の低さが目立ちます。*2  
実際、朝日新聞(2025年3月3日)の記事*3 にも、半数以上の医療機関が「現時点で導入予定はない」と調査回答しているとあります。

記事によると、病院が導入しない理由として、「システム導入・改修費用が高額」「導入する経済的メリットを感じない」といった回答が多かったということです。
このようにすでに費用の問題が取り上げられているにもかかわらず、HPKIセカンド電子証明書を有償化したのですから、導入後、メリットを感じなかった医療機関からは、サービス利用の解約が出てくる可能性が考えられます。

デジタル庁のホームページには、「電子処方箋の導入、普及によって変わること」というページが設けられ、
患者の場合は、1.安心安全な医療の享受、2.待ち時間の短縮、3.処方履歴の確認が、
医療機関・薬局の場合は、1.患者により添う医療の提供、2.安心安全な医療の提供、3.業務負担の軽減、が掲げられています。

人口減少が進む日本で、デジタル化は推進していかなければならないとは思います。しかし、患者さんの多くは高齢者です。スマホも使えない高齢者にとっては、お薬手帳のほうが安心安全だったりもするでしょう。
若い医師は、すでにデジタルネイティブと言われる世代になっています。自分たちにとってはなんでもないことが、高齢者には大変なハードルになることを、医師はもちろん、政策決定者も自覚すべきでしょう。

※WEB情報の最終閲覧日は2025年4月20日です。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 出雲医師会お知らせ(2025年3月31日)

*2 施設別の電子処方箋の導入状況(2025年3月30日時点、厚生労働省調べ)  

*3 「電子処方箋、過半数の医療機関で「導入予定なし」 国は普及めざすも」(朝日新聞デジタル2025年3月3日) 

 

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