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ウィズコロナになって、発熱外来はどれだけ増えるか? 


(2022年10月)

先月9月22日の朝日新聞に、「発熱外来数、3.8倍の格差 都道府県別10万人あたり、最少は千葉」*1 という記事が出ました。

記事によると、9月14日時点での全国総数は約4万施設で、人口10万人当たりの最多数は鳥取県の57.5、東京は33.6、大阪は31.4、最少数の千葉県は15.2でした。

この記事のもとになったデータは、厚生労働省が発表している「都道府県別 診療・検査医療機関数及び地域外来・検査センター設置数」(9月14日17時時点)*2    ですが、
医療機関だけでなく地域外来・検査センター設置数を見ても、設置数が5しかない千葉県の少なさは群を抜いています(ちなみに東京は56、埼玉は33、神奈川は19、大阪は71)。

検査体制については、2020年9月4日に「インフルエンザ流行に備えた医療提供体制の整備について」*3    に、インフルエンザ流行に備えた医療提供体制についての方向性がすでに示されています。しかし、2年たっても検査体制の拡充には至っていません。

にもかかわらず、9月26日からは新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化が全国一律で始まりました。
第7波のピーク時には、発熱外来を受診できずに病状を悪化させたり、軽症者だったのに突然悪化して死亡したりした方もいました。
加えて、近所の診療所に発熱外来があっても、1日の受診者数が限られているため、予約が取れずにネットで購入した検査キッドでコロナの発症を確認した、という方も少なくありませんでした。

そもそも発熱外来が増えない理由として、ハーシス(HER-SYS、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)への膨大な入力作業があげられていましたが、
今後は、発生届けの対象者と「マイ・ハーシス」(My HER-SYS)に登録した人のみが感染者として把握されることになり、医療機関だけでなく保健所の作業負担も大幅に減ると見込まれます。 これで発熱外来を設置する診療所が増えることを祈るばかりです。

さて、その発熱外来ですが、診療報酬上の優遇措置などもあり、パンデミック当初よりは設置数も増えましたが、
その優遇措置も9月30日までとなっており*4   、インフルエンザの流行に備えての検査体制整備については、まさにこれから着手するというところのようです。

そんな中で新型コロナウイルス感染症を2類から5類へという話も出ていますが、検査体制の拡充もできないなかで進める話ではないでしょう。
5類にするならば、インフルエンザのように、少なくとも内科を標榜する診療所なら、どこでも受診可能になることが前提と言えます。

10月以降、水際対策をさらに緩和することも決まり、訪日外国人観光客の増加も見込まれます。加えて、南半球でのインフルエンザの流行も気になるところです。

ビルの中にあるから、医者が1人だから、感染症弱者の患者さんが多いから、隔離室が用意できないから、など理由は様々あるでしょう。
しかし今後、5類への話が本格化することも考えられます。インフルエンザの本格流行に入る前に、診療所の発熱患者の受け入れについて、行政だけでなく、医療機関も交えた本格的な議論が求められます。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 2022年9月22日朝日新聞朝刊「発熱外来数、3.8倍の格差 都道府県別10万人あたり、最少は千葉」

*2 「都道府県別 診療・検査医療機関数及び地域外来・検査センター設置数」(9月14日17時時点)

*3 「インフルエンザ流行に備えた医療提供体制の整備について」(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)令和2年9月4日

*4 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その72)」令和4年7月22日

 

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