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診療報酬・介護報酬の非課税見直し、原則課税を要望 


(2022年9月)

先月8月18日、四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成)は、診療報酬・介護報酬の非課税を見直し、原則課税化するなどの要望を盛り込んだ「令和5年度税制改正要望の重点事項について」*1    という要望書を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました。

この要望書では、新型コロナ感染症が、重症化割合が少ないと言われるオミクロン変異株へ置き換わったことにより、ウィズコロナの時代に入ったことで、日本もそれに「相応しい、将来の新興感染症にも対応できる医療提供体制を着々と構築して行く必要」あるとし、令和5年度の税制改正の要望として、「平時の要望と緊急的措置も含めた有事の要望」を一体化させて考えてほしいとしています。
つまり、コロナの感染防止のための設備投資、消耗品等の支出の増加だけでなく、消費税10%への引き上げの影響がいまだに大きく、「ただでさえ低い利益率しかない医療機関の経営を一層圧迫して」いると訴えているのです。

保険診療の消費税非課税問題は、消費税が10%に引き上げられてからたびたび話題になっていますが、消費税引き上げの影響が解消されないうちに、新型コロナ感染症のパンデミックが起ったため、感染防止のための設備投資、マスクや消毒液などの価格上昇による支出の増加が病院経営に重くのしかかっていることは、すでに周知のことです。
そして設備投資や医療機関で使う消耗品の購入には消費税がかかっているのに、診療報酬は非課税では、控除対象外消費税の問題は解消できないとしています。

この医療・介護に係る消費税の問題については、四病院団体協議会は長年にわたって、原則課税へ要望をしていますが、これまで認められませんでした。
社会保険診療報酬には仕入れ消費税相当額を補填する制度がありますが、実際は補填不足や補填のバラツキが生じており、「どれほど補填方法を精微化しようとも、税負担の不公平性は解消し得ない」としています。

今回、四病院団体協議会が要望した税制改正は次の19項目に上ります。

1. 社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税問題の抜本的な解決
2. 医療機関に対する事業税の特例措置の存続
3. 認定医療法人制度の存続と認定期限の緩和等
4. 持分のある医療法人に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の創設
5. 社団医療法人の出資評価の見直し
6. 社会医療法人に対する寄附金税制の整備および非課税範囲の拡大等
7. 医療法人の法人税率軽減と特定医療法人の法人税非課税
8. 特定医療法人の存続と要件の緩和
9. 訪日外国人向け医療提供体制の整備と医療税制の整合性の確保
10. 介護医療院への転換時の改修等に関する税制上の支援措置の創設
11.高額医療用機器の特別償却制度の適用期限の延長等
12.中小企業関係設備投資減税の医療界への適用拡大
13.病院用建物等の耐用年数の短縮
14.医療機関同士での再編による資産の取得を行った場合における登録免許税及び固定試案税の軽減措置
15.医療従事者確保対策用資産および公益社団法人等に対する固定資産税等の減免措置

【新型コロナウイルス感染症対策関係】
16.新型コロナウイルス感染症の影響による税金等の納付猶予期間の延長
17.欠損金の取扱いの拡充
18.感染対策のための設備投資、消耗品等の支出への税制上の支援措置
19. 医療機関を運営する財団法人の純資産額による解散措置の緩和について

コロナ感染症の収束も見通せないにもかかわらず5類から2類への変更も検討される中、これまで発熱外来に任せていたコロナ患者を一般の診療所が診察する日も遠くないでしょう。
より一層の感染対策が求められることに加えて、昨今の光熱費の高騰は診療所経営に大きな影響を及ぼしています。

安定した病院・診療所経営と日本の医療体制の維持のためにも、消費税の問題は抜本的な見直しが必要になっているのではないでしょうか。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 「2022.8.18 四病協 令和5年度税制改正要望の重点事項について」

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