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コロナ後を見据えた診療報酬改定。開業医への影響は?


(2022年3月)

すでにご存じのことと思いますが、2月9日、中央社会保険医療協議会は2022年度改定案を後藤茂之厚生労働大臣に答申し、診療側委員と支払い側委員の間の意見対立がひとまず決着しました。*1 

コロナ禍における診療報酬改定については、コロナが収束していない中での評価の厳格化に反対していた診療側委員とコロナ禍においても医療機能の分化と連携を推進すべきとする支払い側(保険者)委員の意見対立が常にありましたが、最終的には両者の意見を取り入れて両立させることで決着をみたといえます。

2年にわたる新型コロナ感染症の感染拡大で日本の医療提供体制の脆弱性が露呈し、医療体制の抜本的な強化が求められる一方で、止まらない少子化と超高齢社会を迎えて厳しくなるばかりの健康保険財政のなかで、より一層の医療機能の分化・連携を促進することも求められています。

感染対策に対しての特例的な措置については引き続き実施されますが、今回の改定の特徴として、例えば現行の「感染防止対策加算」の名称を「感染対策向上加算」に変更し、加算2段階評価を3段階評価に見直し、感染対策向上加算は地域の基幹病院が主な算定対象となるなど、防止対策をより講じることを要件として多く盛り込んでいます。
また「急性期充実体制加算」も新設され、コロナ禍で露呈した受け入れ医療機関不足という課題に対応しようとしている点も、今回の特徴と言えるでしょう。

外来医療に対しても「外来感染対策向上加算」*2   が新設され、患者1人につき月1回に限り6点の加算が認められました。ただし、その設置基準は厳しく、医療資格を持つ専任の院内感染管理者が配置されていること、感染防止対策部門を設置すること、組織的に感染防止対策を実施する体制が整備されていることなど、19もの設置基準が設けられています。

もう一つの特徴として、「かかりつけ医機能の明確化」が挙げられます。*3 

これは「外来医療の機能分化、連携」の強化を求める厚労省サイドの考えが強く現れた結果と言えますが、コロナ禍において「かかりつけ医とは何か? かかりつけ医機能とは何か?」という本質的な疑問が顕在化したことと無関係ではないでしょう。
コロナワクチンもPCR検査も「かかりつけ医」を窓口に、というのが当初の厚労省の方針でした。ところが、多くの人が「かかりつけ医」を持っていないために、大混乱が起こったことは記憶に新しいでしょう。
加えて、たとえ「かかりつけ医」があっても、そこに発熱外来が設置されていない場合には、PCR検査を受けられないということまで発生しました。
2022年度の診療報酬改定は、この「かかりつけ医とは何か」についてあらためて議論する必要が生じていることを明確化したとも言えます。

「小児かかりつけ医」については、今回の改定で「時間外対応に係る体制の在り方を考慮した評価体系に見直す」とされ、「診療時間外における対応体制の整備の状況によって施設基準を細分化し、当該体制に応じた評価体系とする」とされました。
つまり「小児かかりつけ医」になるならば、「当該保険医療機関の表示する診療時間以外の時間において、患者又はその家族等から電話等により療養に関する意見を求められた場合に、十分な対応ができる体制が整備されていること」という、「外来医療の機能分化、連携」の強化が体現された改正がなされたのです。

このほか、オンライン診療については「オンライン診療料」が廃止され、初診料、再診料、外来診療料に「情報通信機器を用いた場合」の区分が設けられたことも注目したい点です。

コロナ以降の医療体制の青写真が明確化されたとも言える2022年度の診療報酬改定については、今後も取り上げていくつもりです。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 「2022年度診療報酬改定に関する資料として、中央社会保険医療協議会総会議事次第」

*2 「個別改定項目」2頁「① 外来診療時の感染防止対策の評価の新設及び感染防止対策加算の見直し」

*3 「個別改定項目」130頁「⑤紹介受診重点医療機関とかかりつけ医機能を有する医療機関の連携の推進」及び134頁「Ⅰ-5かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価」

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