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電子カルテだけに頼っていては、薬剤に関するヒヤリ・ハットは防げない


 (2020年2月)

昨年12月26日、日本医療機能評価機構が「医療事故情報収集等事業」第59回報告書(2019年7月~9月) を公表しました。1,517の医療機関が参加(2019年9月現在)した今回の報告書では、(1)電子カルテ・オーダーリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例、(2)中心静脈カテーテルのガイドワイヤーが体内残存した事例、(3)血液検査の結果の確認不足に関連した事例について分析し、医療機関から報告された改善策を提示しています。この中から、クリニックでも起こりうる薬剤関連の事例について、詳しく見ていきます。

報告書では、医療事故事例とヒヤリ・ハット事例について分析されていますが、注目すべき点として、ヒヤリ・ハット事例の36.1%(2019年1~9月、7,481件)が薬剤に関する事例だということです。たびたび報道される薬剤を誤って投与する事故ですが、実際の薬剤事故事例は全体の7.2%でした。ところが、事故にいたる前のヒヤリ・ハットの発生例ではいちばん多く、一歩間違えれば、重大な事故につながりやすいことがわかります。

今回の報告書では、薬剤事故の中でも薬剤アレルギーの事例について詳しく分析しています。アレルギーのある薬剤を投与すると、紅斑・蕁麻疹・膨疹などの皮膚・粘膜症状や、腹痛・嘔吐などの消化器症状、呼吸困難などの呼吸器症状を発症し、重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こすことがあります。そのため、アレルギー情報を入手した際は、医療機関内で適切にその情報を共有することが重要であるとされ、一般病院においても電子カルテを導入し、情報登録、情報共有が進んできています。

ところが、電子カルテに薬剤アレルギー情報が登録されていても、そのシステムを利用せずに処方されているケースや、その情報が所定の場所でないところに登録されていたために薬剤アレルギーに気づかなかったケース、さらには薬剤アレルギー情報が薬剤名(製品名)で記録されていたため気づかなかったケースが報告されており、薬剤投与事故を防ぐための電子カルテ・オーダーリングシステムがうまく活用されていないこともわかりました。特に、アレルギー情報として記載されている薬剤名と同一成分や同一系統で名称が異なる薬剤には注意が必要であることが指摘されています。

報告書では電子カルテの薬剤登録・警告システムの改良点として、電子カルテにおける薬剤登録について、後発医薬品の製品名(商品名)、成分名(一般名)が一覧で、誰にでもわかりやすく表示されるシステムの標準化が期待されています。

また、一部の電子カルテでは、アレルギー情報の登録の際、禁忌薬剤の登録方法を所定どおりに行わないなどの違いによって、処方する際に警告システムが機能しない場合があるようです。電子カルテを提供する企業に対しても、複雑な薬剤アレルギーの警告機能の改良・標準化(同系列の抗菌薬の表現、後発医薬品の一般名の追加等を含め)を望むところですが、さしあたりクリニックなどの現場レベルでできることは、すべての薬剤は、製品名ではなく、一般名で記入、登録を徹底させることではないでしょうか。

(ブランディングエディター:内田朋恵)

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