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スタッフが辞めないクリニックの秘密は「傾聴力」
スタッフの良し悪しはクリニックの評判に直結します。
ならば、いいスタッフに長く勤めてもらうしかありません。
スタッフが辞めないクリニックにはどんな秘密があるのでしょうか。
EPISODE 01
「ホウレンソウのおひたし」と「ちんげんさい」
スタッフとのトラブル回避は傾聴から始まる
「これは明日までにやっておいて」と仕事の納期を指示しただけで、「それはパワハラです」と訴えられる今日この頃。こんなことでパワハラになってしまうなら、いったいスタッフにどう対応すればいいのでしょうか。
令和の人材育成のキーワードは、「丁寧な説明」、そして怒らずに「傾聴」することです。 こうした事情を裏付けるように、ビジネス用語「ほうれんそう」に、最近では「おひたし」や「ちんげんさい」などが加わっています。
「ほうれんそう」は言わずと知れた「ほう(報告)れん(連絡)そう(相談)」です。これは昭和の時代から使われるビジネス用語で、新人社会人に必ず上司が伝える仕事上の心得と言えます。 では、「おひたし」とはなんでしょうか?
これは部下への向き合い方を示す言葉。意味は、「怒らない」(お)、「否定しない」(ひ)、「助ける」(た)、「指示する」(し)で、「おひたし」です。
つまり、部下を育てるためには、上司は「おひたし」で対応しなければならないというです。
では「ちんげんさい」は?
これは、「沈黙する」(ち)、「限界まで言わない」(げん)、「最後まで我慢する」(さい)という意味で、部下がこういう状態にならないよう、上司は常に気を配らなければならないということです。
こうした言葉ができるほど、多くの人が人材育成に苦労しています。実際、昭和の感覚で部下に指示したり怒ったりしたら最後、すぐにパワハラ上司のレッテルを貼られてしまいます。
では、部下との間の無駄なトラブルを避けたり、すぐに退職されたりしないためには、どうしたらいいのでしょうか。
トラブル回避対策の一つが傾聴です。
自分の置かれた状況をうまく説明できない部下には、上司として、彼らが何に困っているかを上手に聞き出す責務がありますが、彼らの気持ちを聞き出す、その手法が傾聴なのです。
上手な傾聴は、自分の意見を押し付けずに、丁寧に質問を重ねながら、相手の話に耳を傾けることです。そのためには、まず院長自身がコミュニケーション力、傾聴力を磨かなければなりません。
指導者や管理者になるにつれ、自分自身が忙しくなるため、どうしても作業効率を優先してしまい、部下やスタッフが考えていることなどは聞かずに、自分のやり方を押し付けてしまいがちです。
最初は部下やスタッフも指示通りに動いてくれるかもしれません。それでうまくいっていると勘違いし、「自分はコミュニケーションが取れている」と考えてしまう人が多いのです。
もし、その指示が現場の状況を考えていないものだったり、スタッフや部下の状況をきちんと把握していないものだったりしたら、どうなるでしょうか。間違いなく職場の雰囲気は悪くなるでしょう。そして一斉にスタッフが辞めてしまう、なんて事態になるかもしれません。
令和の人育ては「共感力」と「傾聴力」がデフォルト
自分の意見を頭ごなしに押し付けるのではなく、スタッフを理解するために、相手の考えをよく聞き、一緒にクリニックの課題を共有していければ、風通しの良い職場に生まれ変われます。
そういう環境はスタッフにとっても働きやすい環境と言えるので、職場定着率も高くなるでしょう。
加えて、院長は「おひたし」を徹底的に実践することが重要です。
その際に重要になるのが、傾聴力です。
傾聴とは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズによって提唱された考え方で、「積極的傾聴(Active Listening)」といわれるカウンセリングの技法で、話を聴く側の3つの要素として、「ロジャーズの3原則」(共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致)が提唱されました。*1
ロジャーズの3原則(*1参照)
1.共感的理解 (empathy, empathic understanding) 相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard) 相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
3.自己一致 (congruence) 聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
なかでも「共感的理解」に基づく傾聴は、相手の立場になって共感しながら話を聴くということで、「傾聴力」に加えて「共感力」も大切になります。
相手の立場になって考えれば、決して頭ごなしに命令したり、説明もなしに仕事を振ったりはできません。
「最近の若者は・・・・・・」と言う前に、まずは丁寧に説明することから始めてみたらいかがですか。
(文責:ブランディングエディター 内田朋恵)
