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ミスに潜む、危機の罠!

ミスには、クリニック経営に危機をもたらす危険な罠が潜んでいます。そこでミスや事故を起こさないためのポイントを整理!

Episode01

危機の罠 その1 「私、失敗しないので」という考えが起こす大きなミス

ヒヤリハットの話題をすると必ず、「ミスしなければいいんでしょ」と言い出す人がいます。それは確かにそうですが、「私、失敗しないので」は、ドラマの世界の話です。

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人間には失敗はつきものです。上の表を見てください。これは、意識モードとエラー発生率の関係についてまとめたものです。正常状態、リラックス状態のフェーズⅡ 、フェーズⅢでは、エラー発生率、つまりミスの確率は限りなくゼロに近づきますが、疲れていたり、眠かったり、逆にパニックに陥ったり、慌てているときはミスの確率は高くなります。

この表からも、「注意を集中して最高の状態で臨めばエラーは起こらないが、この状態を長時間維持できないのが人間なのである」※1、ということがわかります。

救急救命などと違い、クリニックでは興奮状態などにはならないと思いがちですが、患者さんはバラバラに均して来てくれるわけではありません。
来るときは一気に来てしまうものです。
待合室に患者さんが何十人も待っている。ネットに患者さんの予約が何十人も入っている。そんなとき、事務スタッフはてんやわんやです。
焦って処方箋を間違って手渡したり、計算をミスしたりすることは、十分にあり得ます。
それだけではありません。ルーティンワークもミスを発生させる要因です。
クリニックでは、たぶんこの慣れによるミスがいちばん怖いのかもしれません。

ヒューマンエラーは人による確認チェックでは防げない

こういう話をすると、確認作業を徹底させればいいではないかと、指さし確認や、二重チェック、三重チェック体制を敷きます。
ところがこうした対策では、ミスは防げないと言われています。なぜでしょうか?

実験です。下の図の線の長さは①と②でどちらが長いと思いますか?

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パッと見ただけでは、多くの人が②と答えるでしょう。
こういうテストに慣れている方なら、①も②も同じ長さと答えるかもしれません。

正解は①の方がやや長いのです。
これもニューマンエラー(ヒヤリハット)です。時間があって、疑い深い人なら定規を持ってきて測るかもしれませんが、日常の仕事の中で、わざわざ定規で測ることをする人が何人いるでしょうか。
それなら研修やヒューマンエラーをなくす動機づけをすれば……となりますが、残念ながらそれも人間には効果的ではないようです。
中條武志中央大学教授の研究によると、ミスを組織の責任にしたくないという論理が働くために、ヒューマンエラーは無くしづらいそうです※2。 

だからといって、これからクリニックを経営していく身となれば、こうしたヒューマンエラーからくるミスを放置するわけにはいきません。
では、どうすれはいいか。例を挙げて考えてみましょう。

医療現場で起こりがちなヒューマンエラーとして、アレルギー情報共有の失敗が挙げられます。
実際、『医療事故情報収集等事業』(公益財団法人 日本医療機能評価機構編)でも、アレルギーがらみの事故は数多く報告されています。患者さんが申告したにもかかわらず記載を怠ったり、患者さんに確認をし忘れたりという初歩的なミスもあるでしょうが、怖いのは患者さん本人がアレルギーを認識していないために起こるミスです。

そうした場合、どうすればいいでしょうか。
例えば、電子カルテ上で、薬ごとに処方の際の注意事項をチェック項目にしておき、医師が薬を処方する際にそれを確認しなければ処方できないようにしておく、さらに処方箋を渡す窓口でも最終確認をする。
その確認方法も、「○○に対してアレルギーはありますか」という聞き方ではミスはなくなりません。「こういう場合に何か症状はありましたか?」のように、具体的に質問できるマニュアルを作っておく必要があります。

こうしたちょっとした工夫で、ミスは防げると言われています。 このひと手間を面倒くさい、コストが上がると考えるか、逆に何かあったときを考えれば安いもんだと考えるか。
ミスへのコストの考え方は、これからのクリニック経営の一つの指針になるのではないでしょうか。

(文責:ブランディングエディター 内田朋恵)


※1 :「人間信頼性工学:エラー防止への工学的アプローチ」中條武志
※2: 同上

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