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人手不足はAIで解消⁉
人手不足が深刻化しています。2024年4月からは勤務医の時間外労働の年間上限が原則960時間となるため、非常勤医を抱える診療所にもじわじわと影響が出てくると思われます。そうした現状に対処するために、AIは診療所経営のお助けツールになるのでしょうか。活用が始まったAIとの上手な共存を考えていきます。
EPISODE 01
画像診断はAIの得意分野
これからはAIを使いこなせる医療従事者が求められる⁉
ChatGPTの登場で、AIは一般の人にも使えるものになりました。
これまで一部の人だけのものだったAI技術が身近なものになった2023年は、まさにAIの一般化元年とも言えるのではないでしょうか。
医療領域では数年前からAI技術が導入されており、なかでも画像診断領域におけるAI技術の進歩は目を見張るものがあります。
画像診断に関しては、ディープラーニングの効果が比例的に上昇することが論文*1 でも明らかになっており、急速な進歩が認められる領域です。
実際、AIを用いた画像診断は格段に精度が上がっており、2022年度からは、「人工知能技術(AI)を用いた画像診断補助に対する加算(単純・コンピュータ断層撮影)」が保険適用となりました。
保険適用となったことで、胃腸科などでは医療AIを導入しやすくなったという声もあるようですが、一方で、AI技術を使いこなせる医師がいないという問題も出てきているようです。
先述の論文(*1)にもあるように画像診断分野はAIが得意と言われる分野です。
病気の見逃しを防ぐ観点から、読影は2人体制でする病院が多いと思いますが、昨今の医師不足&働き方改革のなか、AIが人間の代わりにダブルチェックすることで、診断のサポートをすることも可能になります。
つまり、画像診断支援システムは、上手に活用すれば、間違いなく医師の負担軽減につながるものです。 このように、医療AI技術を使うことにはメリットがありますが、一方でデメリットも指摘されています。

AIが苦手なことも知る
2017年1~3月、厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」が設けられました。その第1回懇談会で、今後考えられる医療におけるAI導入の重点領域を挙げています。*2
それは、ゲノム医療や画像診断支援、治療支援、医薬品開発、見守りなどの介護・認知症支援、感染症対策などの公衆衛生支援などです。
先述したように画像診断支援は、すでに実用化されていますが、ここで新たな問題も出ています。
画像診断がいち早く実用化されたのは、質の高い画像データは集めやすく、ディープラーニングに適していたからですが、逆に考えれば、稀少がんなど、症例が少ないものに関しては、AIによる画像診断では、見逃す確率が高くなるということです。
このように珍しい病気の発見に関しては、まだまだ人間による判断が重要になってきます。
もう一つ問題なのが、「なぜAIはそう判断したのか」がわかりにくいことです。 誰が診ても明らかな症例の場合には問題になりませんが、例えば、人間の目ではなんとも判断がつきかねる症例に対して、AIが「がん」と診断した場合、その根拠を明らかにすることは困難です。
これが、AI技術における「ブラックボックス問題」といわれる現象です。 なぜAIがそう診断したのか、その根拠、思考プロセスがわからなければ、診断に対しての信頼性は下がってしまうでしょう。
このように、AIにできることにはまだまだ限りがあります。 だからこそ、人の命を預かる医療現場では、最後は医師が診断して、根拠を含め、患者さんに丁寧に説明することが必要になるのです。
とはいえ、人手不足の時代です。上手にAI技術を使っていくことも、これからの課題となります。
(文責:ブランディングエディター 内田朋恵)
*2 「AIの活用が想定される領域とメリット」資料4-2 第1回保健医療分野におけるAI活用推進懇談会(2017年1月12日)
