医療モールと単独開業、どちらが良い?開業スタイルの基本を理解する
クリニックを開業する際、まず検討すべきなのが「どのような形態で開業するか」という点です。
まず検討に値するのが、複数の医療機関や薬局などが同一施設内に集まる「医療モール」形式です。
一方で、従来から根強い人気を持つのがクリニックの「単独開業」という形態です。
両者にはそれぞれにメリット・デメリットがあり、開業後の運営や経営の安定性にも大きな影響を与えます。
ここでは、医療モールと単独開業の特徴を整理しながら、自院に合ったスタイルを見極めるためのポイントを解説します。
医療モールとは?その仕組みと特徴
医療モールとは、内科や皮膚科、耳鼻科、整形外科など、異なる診療科のクリニックが同じ建物内や隣接エリアに集まった医療複合施設のことを指します。
調剤薬局が併設されているケースも多く、患者さんにとっては「一か所で複数の診療を受けられる」利便性の高い環境が整っています。
医療モールの主な特徴
- 共通のエントランスや駐車場を共有し、施設全体での集患を期待できる
- モール全体の管理会社が物件自体や共用部、広告を一括で管理するケースがある
- 開業時の内装や設備費用が抑えられる場合がある
単独開業とは?地域密着型の王道スタイル
単独開業は、文字通り一つの建物や区画に自院のみで開業する形態です。
診療方針から内装デザイン、広告戦略まで、すべてを自分の判断で決定できる自由度が最大の魅力です。
単独開業の主な特徴
- 自由度が高く、ブランド構築や診療方針を思い通りに展開できる
- 集患は立地や広告戦略、口コミ形成に大きく左右される
医療モールと単独開業の比較表
| 項目 | 医療モール型 | 単独開業型 |
|---|---|---|
| 立地・アクセス | 駅前や商業施設隣接など好立地が多い | 地域住宅地・ロードサイドなど選択肢が広い |
| 初期費用 | 共用部・インフラが整っており、比較的抑えやすい | すべて自己負担のため、初期投資が高くなる場合がある。 |
| 集患力 | 他科目との相乗効果で来院が増えやすい | 地域密着で安定した患者層を築けるが、時間がかかる場合もある |
| 運営自由度 | 管理規約や共有ルールに制限される場合がある | 完全に自由な経営が可能 |
| 他院との連携 | 紹介・検査など連携がスムーズ | 他院とのネットワークは自ら構築する必要あり |
| ブランディング | モール全体の印象に左右されやすい | 独自のブランドを形成しやすい |
医療モール開業のメリットとデメリット
メリット
- 初期投資が抑えられる
給排水や電気容量など、医療向け設備があらかじめ整っている場合が多く、内装費用が軽減されるケースが多い。 - 他院との相乗効果による集患
モール全体で一定の来院数が見込まれるため、開業直後から患者が来やすい環境がある。 - 患者にとって利便性が高い
複数科目を一か所で受診できることから、地域医療のハブとして機能しやすい。
デメリット
- 経営の自由度が制限される
モール全体の方針や規約により、看板や診療時間、広告内容などに制限がかかる場合がある。 - 他院との関係性リスク
隣接するクリニックの経営状態や評判がモール全体の印象に影響する可能性がある。
単独開業のメリットとデメリット
メリット
- 経営の自由度が高い
診療方針、内装デザイン、スタッフ採用など、全てを院長の判断で進められる。 - ブランディングを一から構築できる
医院名やロゴ、外観などを地域に合わせて独自に設計できるため、長期的な差別化がしやすい。 - 経営上の制約が少ない
診療方針、広告展開などの制約が少ない。
デメリット
- 初期投資が高額になりやすい
建物や設備をすべて自院で準備するため、費用負担が大きくなる場合がある。 - 集患まで時間がかかる
立地選定や広告戦略を慎重に行わなければ、開業初期の患者数が伸び悩む懸念もある。
どちらが向いている?タイプ別おすすめ開業スタイル
| 医師のタイプ | おすすめ開業形態 | 理由 |
|---|---|---|
| 初めての開業で経営経験が少ない方 | 医療モール | 集患や管理面のサポートを受けやすく、初期リスクを軽減できる |
| 専門性を活かして独自ブランドを構築したい方 | 単独開業 | 自由度が高く、差別化戦略を展開しやすい |
| 集患よりも安定的な経営基盤を重視する方 | 医療モール | 既存施設の来院動線に乗りやすい |
| 地域医療や在宅医療に力を入れたい方 | 単独開業 | 地域密着で長期的な信頼関係を築ける |
医療モール・単独開業を選ぶ際の判断ポイント
どちらが「正解」というわけではなく、診療科目・ターゲット層・経営スタイルによって最適な選択は異なります。
判断の際には、以下の点を意識して比較検討するとよいでしょう。
- 想定する患者層(年齢・通院頻度・地域性)
- 診療科目の性質(紹介連携が必要か、リピート型か)
- 初期投資と資金計画のバランス
- 開業後の拡張性・移転リスク
