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開業後の診療所経営について具体的ケースを検証し
経営改善につながる対策を『処方箋』として解説します。

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院内環境の整備と標榜科目の変更

患者の"設備の整った専門医"を選ぶ?―問題点に対する処方薬

生まれ変わったクリニック。院内リニューアルの効果は…。


問題点に対する処方箋

1.院内環境の整備と標榜科目の見直し

高齢者と若年層が混在するこの地での開業を決断した院長は、標榜科目に小児科を加え、小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんの来院を見込んでいました。その見込みに間違えはなく開業して3年目あたりには1日40人ほどの患者数になり年齢層にも際立ったものはなかったのです。

変化が現れたのは競合の「Xこどもクリニック」が開設された頃からであることを考えると、患者さんは通院範囲に“設備の整った専門医”が存在すればそちらを選択する要素が強いことを伺わせます。また、新しく開設される診療所の多くは院内の環境に配慮した造りとなっていることから、ここにどれだけ注力できるかが診療所選択の大きなポイントになってきています。

このような状況の中、院長は専門科目である循環器を前面に押し出し、高齢者を中心としたクリニックに生まれ変わるため次の3項目を敢行したのです。

  1. (1)
    高齢患者さんの負担軽減のためのリニューアル
  2. (2)
    自身の専門科目(循環器科)をアピールするため標榜科目を変更する
  3. (3)
    診療体制強化のため係る医療機器の充実をはかる

2.改善策の実施内容

  1. (1)
    高齢患者さんの負担軽減のためのリニューアル(費用:300万円 工期7日間) (ア)入口のバリアフリー化
    近年、新規開業した診療所は当然のごとくバリアフリー化されています。高 齢の患者さんとご家族にとって履物を替えるのは大変なご苦労であり、また、 若年層の患者さんにとっても衛生面の観点からスリッパを使用する事に抵 抗感を覚える方が増加しており、入口のバリアフリー化は高齢者のみならず 若年層の感性にも配慮したものといえます。
    (イ)お手洗いの間口拡張
    患者さんにとって時間が掛かってしまうことに対する精神的な負担も大き なものでした。改善のため間口を90cmに拡張し、拡張が困難であった個室 内には“滑りにくくて力が入りやすい”と評判の波形の手すりを取付け併せ て小型の棚も設置しました。
    (ウ)床・壁材の貼り替え
    多少汚れの目立つ待合室の床・壁の貼り替えです。高齢者にとっての待合に は落ち着いた雰囲気が似合います。色調のアイデアを求められた院長夫人の 意見は明るい木目調の床(塩ビタイル)とオフホワイトの壁。 出来上がり の評判も良く“色調は女性の感性に委ねたらよい“との助言は当たっていた ようです。
    (エ)照明器具の手直し
    電気代が安いといわれるLED電球のダウンライトと壁面の絵画を際立た せるためスポットライトも新設しましたが、従前とは全く異なる雰囲気を醸 し出し期待以上の効果を得られました。
  2. (2)
    自身の専門科目(循環器科)をアピールするため標榜科目を変更する 新たな標榜科目は「内科、循環器内科」としました。診療科目名については従前 多くの制約がありましたが、平成20年4月厚生労働省から「広告可能な診療科名 の改定について」が出されて患者さんにとってわかり易い診療科目の標榜が可能に なっており、保健所や地方厚生局での問題もありませんでした。
    院長は循環器科の範疇を理解いただくため、係る臓器、症状、病名をわかり易く 解説したパンフレットを作成し受付カウンターとホームページ上に掲載していま す。
  3. (3)
    診療体制強化のため係る医療機器の充実をはかる(総額500万円をリース契約 (ア)開業以来使用していたエコーをカラードプラー付の心エコーに交換 (イ)予てから紹介を受けていた心筋梗塞、心不全の診断・予後判定に有効とされるBNPを新規採用 (ウ)保険適用(D-208)されている携帯心電計を新規採用

3.実施の効果は・・・

リニューアル後の初診療日、入口のバリアフリー化に一瞬戸惑う患者さんも見られましたが、受付では「楽だわ・・」の声が聞かれます。診察室でもいつもとは違う笑顔が・・・。

ユニホームを新調した職員の動きも活発で、場所によって異なるエアコンの効き具合や西日の当たり具合など待合室への気配りを怠っていません。新たに導入した医療機器も差別化につながっており、序々にではあるものの高齢の患者さんが増え、リニューアル半年後には1日平均40人を越えるようになりました。循環器を患う患者さんから“滞在時に心地良い循環器専門の診療所”として認知されたようです。

更に、小児の患者さんは小児科専門診療所への紹介を心がけていることから“診・診連携”も根付いてきつつあるようです。

総括

患者数の増減要因の中には、新たな競争相手が出現するなどの外部要因があります。その対策は個々の事例によって異なりますが、本事例は近隣に新しい診療所が開設されたことを機に、ターゲットとする患者層(診療科目)を絞込むと同時にそれにマッチするよう院内環境を整えたというものです。

リニューアルは建物の構造や診療への影響、また、費用などの点から躊躇されることが多いと思われますが、これを放置すると不便を感じていている患者さんが徐々に離れていく可能性も十分考えられます。埋もれがちな患者さんの声を聞きだし院内環境の改善を図ることは大切なことですが、場合によってはこの結果のように経営戦略を思い切って転換することも検討に値するといえるでしょう。

(文責:税理士法人町山合同会計)

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